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足がむくむ (浮腫)

X線検査室 (当院):
むくみがある場合、肺に水が溜まったり、
心臓が拡大したりしていないか、
X線で評価することがあります

足がむくむ (浮腫) というのは、多くの人が経験する一般的な症状です。ほとんどの場合、深刻な健康上の問題を示すものではありません。日常生活の中で起こる一時的なむくみは、多くの場合自然に改善します。しかし、むくみが気になる、あるいは長く続く場合には、その原因を理解し、適切に対処することが大切です。このページでは、浮腫の原因をいくつか挙げて、その対処方法などについて解説します。

日常生活で起こる一般的なむくみ

多くの人が経験する一時的なむくみの主な原因には以下のようなものがあります。これらの原因によるむくみは、生活習慣の改善により和らげることができます。

  • 長時間の立ち仕事や座り仕事→ まめに足を動かす、軽い運動をすることで改善
  • 暑い天気や湿度の高い環境→ エアコンを使って環境改善したり、足を少し高くして休む
  • 塩分の取りすぎ→ 塩分摂取を控えめにしたり、適度な運動を行う
  • 月経前や妊娠中のホルモンの変化→ 適度な水分をとりつつ、改善するのを待つ
  • 足に合わない靴の着用→ 足に合った靴を選ぶ

 ただし、以下のような場合は、一度医療機関を受診し、専門医に相談することをお勧めします。

  • むくみが急に現れ、痛みを伴ったり、足が熱くなったり赤くなったりしている場合
  • 片側の足だけがむくむ場合
  • むくみが長期間(数週間以上) 続く場合
  • むくみとともに息切れや胸痛がある場合
  • 妊娠中で急激なむくみの増加がある場合

これらの症状がある場合、心臓、腎臓、静脈の問題など、治療が必要な状態の可能性があります。

心不全

心不全は、心臓が体中に十分な血液を送り出せない状態です。これにより、体内に水分が貯まり、足の浮腫みが起こることがあります。当院では、以下のような診察・検査を行い、より詳細な原因や対策を探っていきます。

  • 問診: 息切れ、疲労感、夜間や臥床した際の呼吸困難など、症状について詳しく聞きます。
  • 身体診察: 心音の聴診、肺の音の確認、頸静脈の拡張の有無などを確認します。
  • 血液検査: NTproBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント)などの心不全マーカーを調べます。
  • 心電図: 不整脈や心筋梗塞の痕跡を確認します。
  • 胸部レントゲン: 心臓の大きさや肺うっ血の有無を調べます。
  • 心エコー検査: 心臓の構造や機能を詳しく評価します。

 心不全の治療としては、心臓の負担を軽減させるのが基本となります。塩分・水分を制限して、体内の水分やミネラルのバランスを整えます。利尿剤を使って余分な水分を排出し、心臓の負担を軽減するのも有用です。ACE阻害薬やβ遮断薬といった降圧剤は、血圧を下げるだけでなく心血管のホルモンバランスを整えて、心不全の進行を抑えることが期待されます。適度な運動や禁煙など、地道な生活習慣の改善も大切です。

慢性腎臓病 (CKD)・腎不全

腎臓の機能が低下すると、体内の水分や老廃物の排泄が難しくなり、足の浮腫みが生じることがあります。当院では、以下のような診察・検査を行います。

  • 問診: 尿量の変化、全身倦怠感、食欲不振などの症状を確認します。
  • 身体診察: 浮腫みの程度、血圧測定、皮膚の乾燥具合などを確認します。
  • 血液検査: クレアチニン、尿素窒素(BUN)の値で腎機能を評価し、電解質などを調べます。
  • 尿検査: タンパク尿や血尿の有無を確認します。
  • 腎臓超音波検査: 腎臓の大きさや構造を評価します。

腎機能低下への対応としては、まず糖尿病や高血圧など、腎不全の原因となる疾患の管理を行います。食事療法として、タンパク質や塩分の摂取を調整します。薬物療法として、高血圧の管理や貧血の改善のための薬を処方することもあります。重度の場合は、連携医療機関と協力し、血液透析や腹膜透析を検討します。

ネフローゼ症候群

超音波検査 (当院):
心エコーで心不全の原因を探ったり、
血管エコーで下肢の血栓や静脈瘤を
見つけたりすることができます

腎臓の糸球体が障害を受け、大量のタンパク質が尿中に漏れ出す状態です。これにより血液中のタンパク質が減少し、水分が血管外に漏れ出して浮腫みが起こります。検査に関しては、腎疾患ですので前項のCKD・腎不全と同様となります。

治療としては、多くの場合、ステロイド療法が第一選択として使用されます。ステロイドが効かない場合や副作用が強い場合には、免疫抑制剤の使用も検討します。他に補助的に、利尿剤、塩分・タンパク質制限、抗凝固療法などを併用します。

下肢静脈瘤

静脈の弁が正常に機能せず、血液が逆流することで静脈が拡張し、足に浮腫みが生じる状態です。

対応としては、下記のようなことを行います。

  • 問診: 足の痛み、重さ、むくみ、皮膚の変化などを確認します。
  • 身体診察: 静脈の拡張、皮膚の変色、潰瘍の有無などを確認します。
  • 超音波検査(血管エコー) : 静脈の逆流や血栓の有無を調べます。

治療として、当院では保存的治療、具体的には弾性ストッキングの着用、足の挙上、運動療法などを指導します。外科的治療として、硬化療法といって薬剤を注入して静脈を閉塞させる方法や、レーザー治療、静脈抜去術などの手術治療があり、必要な方には連携医療期間を紹介します。

下肢深部静脈血栓症

足の深部の静脈に血栓ができ、血流が妨げられることで浮腫みが生じる状態です。肺動脈血栓塞栓症、いわゆるエコノミークラス症候群のリスクがあるため、迅速な診断が必要です。

  • 問診: 突然の足の腫れや痛み、熱感、発赤などの症状を確認します。
  • 身体診察: 浮腫みの程度、圧痛の有無、皮膚の色調変化などを確認します。
  • D-ダイマー血液検査: 血栓の存在を示唆する指標を調べます。
  • 超音波検査(血管エコー): 血栓の有無、あった場合はその位置や大きさを確認します。
  • CT検査やMRI検査: 必要に応じて、外部施設と連携して、詳細な画像診断を行います。

 治療の基本は抗凝固療法となります。以前はワルファリンという食事制限 (納豆禁止) や毎月採血しての用量調節が必要な薬しか使えませんでしたが、当院では他に3種類の薬を使い分けることで、患者さんに応じた治療が可能です。補助的にではありますが、圧迫療法といって弾性ストッキングの着用したり、早期離床と運動を通して血流改善を促したりするのも効果的です。

まとめ:むくみが気になる方へ

足のむくみは、多くの場合、生活の中で起こる一時的な現象です。過度に心配せず、自分の体調に耳を傾け、足を大切に過ごすことが大切です。

  • 日常生活では、塩分摂取を控えめにし、適度な運動を心がけましょう。
  • 長時間の立ち仕事や座り仕事の際は、定期的に足を動かすようにしましょう。
  • 就寝時に足を少し高くして休むことも効果的です。
  • 入浴時には、足をよく洗って清潔を保つと同時に、足を観察して赤く腫れたり怪我・出血・感染などがないか確認しましょう
  • 処方された薬がある場合は、指示通りに服用することも大切です。

しかしながら、浮腫の中には、上に挙げたような病気が隠れている可能性もあります。当院では、詳細な問診と身体診察、そして適切な検査を通じて原因を特定し、それぞれの状況に応じた治療方針を立てていきます。むくみが長く続いたり、症状が強く心配になってきた際には、是非当院にご相談ください。

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