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血圧脈波検査

血圧脈波検査装置 VS-2500システム (当院採用機種) | フクダ電子

血圧脈波検査は、血管の弾力性や硬さを評価する検査で、動脈硬化の早期発見に非常に有効な検査です。
特に、この検査を用いて血管年齢を算出することができるのが大きな特徴です。

血圧脈波検査とは?

まず、血圧とは、心臓が血液を全身に送り出すときの力のことです。
血液が血管を通って流れる際の圧力を表したものが血圧です。
一般的に、収縮期血圧 (最高血圧) と拡張期血圧 (最低血圧) の2つの数値で表されます。
健康診断などで「あなたの血圧は124/80mmHgです」と言われた場合、収縮期血圧が124、拡張期血圧が80、ということです。

一方、脈波とは、心臓の拍動に同期して血管が膨らむ様子を表したものです。
健康な人の場合、血管は弾力性に富んでおり、心臓の拍動に合わせて柔らかく膨らむことができます。
しかし、加齢や生活習慣の影響により、血管が硬くなると、脈波の波形が変化してきます。

この脈波の変化を詳しく解析することで、血管の状態を把握することができるのが、血圧脈波検査の大きな特徴なのです。

実際の検査の流れ

まず、検査の準備として、検査を受けていただく患者さんの両腕と両足とに、血圧計のようなカフを巻きつけます。
そして、両手首に心電図の電極を、胸の心臓があるあたりに心音マイクを設置します。
これらのセンサーが、血管の拍動をとらえ、血圧や脈波のデータを記録していきます。

検査中は、しばらく安静にしていただきます。
カフが少し締め付けられる感じはありますが、痛みはありません。
心電図や心音のセンサーも軽く装着しているだけなので、ほとんど気にならないはずです。

通常、この検査には10分ほどかかります。検査中は、データが記録されていくので、特に体を動かしたりする必要はありません。

検査が終わりましたら、医師が記録されたデータを詳しく分析します。
そして、その結果をもとに、血管の状態についてご説明させていただきます。

検査には特に痛みや違和感はなく、患者さんへの負担が非常に小さいのが特徴です。
当院では専門資格をもった臨床検査技師・看護師が担当しますので、安心してお受けいただければと思います。

ABPI (足関節上腕血圧比) とは?

血圧脈波検査ではさまざまな項目を同時に測定できますが、その中で重要な指標の一つがAnkle Brachial Pressure Index (足関節上腕血圧比)、略してABPIです。

血圧脈波検査では、先に説明したように患者さんの上腕と足首に血圧計のようなカフを巻きつけます。
これらのカフから、上腕と足首の血圧をそれぞれ測定します。
次に、上腕の血圧と足首の血圧の比率を計算します。
この比率がABPIの値となります。

正常なABPIの値は、0.9から1.3の範囲にあります。
この範囲であれば、下肢の動脈に重大な問題はないと判断できます。
一方で、ABPIの値が低下している場合、下肢の動脈に何らかの異常が存在する可能性があります。
例えば、動脈硬化による血管の狭窄や閉塞などが考えられます。
具体的に0.9未満の場合は、下肢動脈疾患の可能性が高いとされています。
0.5未満だと重症の閉塞性動脈疾患が疑われます。
このようにABPIの値は、下肢の動脈の状態を客観的に評価する指標となるのです。

下肢の血行が悪いと、歩行時の痛みや冷感、むくみ、潰瘍などの症状が現れる可能性があります。
そのため、ABPIの検査は下肢の血管の健康状態を把握する上で大変重要なのです。
ご不明な点がございましたら、遠慮なくお尋ねください。
下肢の血管の健康について、一緒に考えていきましょう。

PWV (脈波伝導速度) とは?

血圧脈波検査ではさまざまな項目を同時に測定できますが、その中で重要な指標の一つが「脈波伝播速度」= Pulse Wave Velocity、略してPWVです。

PWVとは、心臓の収縮によって生じた脈波が血管を通って伝わっていく速度のことです。
具体的には、心音と両足カフの2箇所で脈波の到達時間の差を測定し、その距離を時間で割ることで算出されます。
この速度は、血管の硬さを表す指標として非常に重要です。
なぜなら、血管が硬くなるほど、脈波の伝播速度が速くなるからです。

健康な若い人の場合、血管は弾力性に富んでいるため、脈波はゆっくりと伝わっていきます。
しかし、加齢や生活習慣の影響で動脈硬化が進むと、血管が硬くなり、脈波の伝播速度が速くなっていきます。
つまり、PWVの値が高いほど、血管の硬さが高いことを意味しているのです。
PWVの値が高いということは、その分動脈硬化が進行しているということになります。

PWVの基準値は、年齢によって少し異なりますが、一般的に10m/s以下であれば正常範囲と考えられています。
一方、12m/s以上になると動脈硬化が進行している可能性が高いとされています。
PWVの値が高い場合は、動脈硬化の進行が疑われますので、生活習慣の改善などによる予防が重要になってきます。
一方、PWVが低い値を示していれば、血管の弾力性が保たれ、動脈硬化が進行していないことが分かります。

CAVIと血管年齢

血圧脈波検査では、これまで説明したように、足の血管の詰まり具合を反映するABPI、血管の硬さを反映するPWV、などさまざまな項目が測定できますが、それらを総合的に評価した指標が、Cardio-Ankle Vascular Index、略してCAVIとなります。

CAVIの値は0から20の範囲で表されます。
値が低いほど、動脈の弾力性が保たれており、動脈硬化が進行していないことを示しています。
一方、値が高いほど動脈硬化が進行していることを意味します。

一般的に、CAVI値が9.0以上だと、動脈硬化が進行していると判断されます。
ただし、CAVI値は年齢とともに上昇する傾向にあるため、年齢を考慮して評価する必要があります。

また、これまで説明した英文字の難しそうな指標 (ABPI、PWV、CAVI) をより分かりやすく、患者さんに伝わりやすくした指標として「血管年齢」も算出します。
血管年齢とは、その人の血管の状態が、実年齢に比べてどのくらい進んでいるかを表した指標です。

例えば、40歳の方の血管年齢が50歳だった場合、血管の状態が実年齢より10歳ほど進行していることを意味します。
つまり、その方の血管は普通の40歳の人に比べて10歳分、老化が進んでいるということになります。

この血管年齢は、動脈硬化の進行具合を知る上で非常に重要な指標となります。
血管年齢が実年齢よりも高い場合は、生活習慣の改善などによる動脈硬化の予防が必要だと考えられます。

一方、血管年齢が実年齢よりも低い場合は、その方の血管が若々しい状態を維持できていると判断できます。
ただし、加齢とともに確実に血管は硬化していきますので、定期的なチェックが大切です。

余談ですが、当院の院長は大学院でこのCAVI・血管年齢と虚血性心疾患の関連について研究しており、この領域で博士の学位を取得し、英文論文も発表しております。

まとめ

血管は全身をくまなく巡っており、血管の健康状態は私たちの生活に大きな影響を及ぼします。
血圧脈波検査は、血管の詰まり具合や硬さを反映する複数に指標 (ABPI、PWV、CAVI) を同時に測定し、血管の健康状態を評価して「血管年齢」を算出できる検査です。

4つのカフ・電極・心音マイクを装着して十数分間安静にしてもらうだけで、特に痛みや負担を伴わない、安全で安心な検査です。
当院では、専門資格をもった検査技師・看護師が施行し、循環器専門医資格をもった院長が解析しますので、安心してお受け頂けます。

何か質問やご不明な点がございましたら、遠慮なくお聞きください。
心臓と血管の健康について、一緒に考えさせていただきたいと思います。

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