超音波検査 (エコー検査)
超音波検査 (エコー検査) は、耳では聞こえない周波数の音を体内に向けて発射し、跳ね返ってくる音を画像化することで、身体の内部の様子を知ることができる検査です。同じように身体の中身を探る検査であるX線写真やCTと違って放射線被曝がなく、またCTやMRIのような大掛かりな装置も不要であり、胃カメラや大腸内視鏡のような苦痛もないことから、大変有用な検査です。このページでは、当院で可能なエコー検査について説明します。
心エコー検査
心臓の構造や機能を評価できる検査です。X線写真やCTと違って、静止画ではなく「動画」で評価できるのも大変重要な点で、心臓の動きが十分機能しているか、狭心症や心筋梗塞に特徴的な左室壁運動異常があるかどうか、その場で評価できます。心臓内の血液の流れもドプラー法で評価できるため、先天性心疾患など心臓の構造異常があるかどうか、弁膜症といって血液の流れが邪魔されたり逆流されたりしている病態があるか、も直ちに分かります。
当院で採用した「GE healthcare vivid T9 ultra edition」は、スペックルトラッキングといって、心臓の動きや変形の様子を詳細に分析することができるため、GLS (Global Longitudinal Strain) を測定して、将来心機能低下がでないかなどを事前に評価・予想することもできます。
頚動脈エコー検査
首の動脈を観察する検査です。血管内の血液の流れや、血管壁の厚さなども観察します。
首の血管に狭窄がないか、粥状動脈硬化・プラークといった血栓や閉塞の原因となる病変がないか、を評価することで、脳卒中のリスクを評価したり、頚動脈狭窄症の診断をすることができます。
また、首の血管の動脈硬化の程度は、全身の血管の動脈硬化を反映しているとも考えられます。血圧脈波検査で調べるCAVI (心臓足首血管指数) と併用することで、現時点での生活習慣病 (高血圧、糖尿病、脂質異常症) の程度や、血管への影響を評価することもできます。
下肢血管エコー検査
下腹部から足にかけての、動脈や静脈の状態を観察する検査です。頚動脈エコーと同様、血管内の血液の流れや、閉塞・狭窄の有無も評価できます。
動脈系に関しては、下肢動脈閉塞性疾患の診断と経過観察ができます。血圧脈波検査で調べるABPI (足関節上腕血圧比) とあわせて、下肢の閉塞を定量的に評価できます。
静脈系に関しては、深部静脈血栓症 (DVT; いわゆるエコノミークラス症候群) を見つけることができます。表在静脈を観察することで、静脈瘤の診断・評価もできます。
腹部エコー検査
腹部臓器(肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓など)の状態を観察する検査です。 脂肪肝、肝硬変などの肝疾患の診断、胆石症、胆嚢ポリープなど胆嚢疾患の診断、腎臓の形態異常や結石の診断、腹部大動脈瘤のスクリーニングを行うことができます。
超音波検査のメリット
超音波検査を受けるメリットは以下の通りです。
- 非侵襲的で安全: 放射線被曝がなく、痛みもありません。
- リアルタイムで観察可能: その場で結果を確認し、医師と相談できます。
- 繰り返し検査が可能: 経過観察に適しています。
- 早期発見・早期治療: 無症状の段階で異常を発見できる可能性があります。
- 予防医学への貢献: 生活習慣病のリスク評価や管理に役立ちます。
- 総合的な健康評価: 複数の検査を組み合わせることで、全身の状態を把握できます。
これらの検査は、特に循環器疾患や生活習慣病の早期発見、予防、管理に非常に有効です。定期的に受けることで、自身の健康状態を把握し、必要に応じて適切な治療や生活習慣の改善につなげることができます。詳細な説明が必要な点や、特定の検査についてさらに知りたいことがありましたら、お気軽にお尋ねください。